愛と凌辱のフーガとは
多くの男は、愛する女性を守りたいという気持ちと背中合わせに、愛していればこそ穢してやりたい、おのが手で恥辱の限りを尽くしてやりたい衝動を内に秘めています。
対して多くの女性は、お互いが平等かつ対等な立場で睦み合い、ともに悦びを分かち合う愛を望むものです。これは、古来より男には狩りなどで糧を得ることが求められ、女の役割が家庭を守ることであるのと無縁ではない筈です。
男が征服した女を欲望のままに凌辱し尽くてしまえば、女の肉体や精神がボロボロになることはもちろん、男自身も性欲をコントロールできなくなるとともに、最愛の伴侶を程なく失ってしまうことになります。
その意味では、男女間の愛に対する価値観の違いは、一種の安全装置として授けられたものでといえます。
しかしながら、男の心には対等で穏やかな恋愛関係に対する憧憬もあり、女の心には愛する者の手で強引に組み敷かれて、思うさま犯されたいという欲望も存在します。
正反対ともいえるこれら二種類のベクトルの配合比率が、「恋の相性」と呼ばれるものの重要な一部であり、恋の彩りと寿命を決める主要なファクターなのでしょう。
男女の心の中で、凌辱と愛はお互いから遠ざかろうとしつつも、時に相手を追い詰めて呑み込もうとする複雑なフーガを、常に奏でているのです。